D2C・DtoC(ディー・トゥ・シー)とは?: 小規模事業者による効果的なD2Cの販売方法と、その導入手順

この記事ではD2C・DtoC(ディー・トゥ・シー)・Direct to Consumer(ダイレクトトゥコンシューマー)の意味と、小規模事業者による効果的なD2Cの販売方法と、その導入手順を紹介します。

D2C (DtoC・ディー・トゥ・シー)はDirect to Consumer(ダイレクトトゥコンシューマー)の略で、古くは農作物の生産者直売が典型的なものです。現在では、メーカーや生産者がネットショップ・ECサイトを構築して、ネットを通じて直接消費者に販売するビジネスモデルのことを指します。

もともと生産者の周辺コミュニティ(地域限定)での販売形態であったものが、インターネットの発展とともに、より広範な消費者に対して直接アクセスが可能になったので、現在では一つのビジネスモデルとして注目されるまでに発展しています。

今も昔も、D2Cの基本は変わらず、「良い商品を適正価格で、直接消費者に届けることができれば、双方のメリットになる。」ということです。

SNSによって、企業が消費者に直接コミュニケーションをとる方法が確立して、商品を直接アピールして販売できる時代になりました。このため、メーカーや生産者は、商品の販売を小売業者だけに頼る必要がなくなったため、D2Cのビジネスモデルが注目されています。

さらに、コロナ禍の時代においては、実店舗への来店者数がかなり落ち込んでいます。ネットショップ・ECサイトで消費者に直接販売するビジネスモデルであるD2Cは、特に小規模事業者にとっては、実店舗の補完として、避けて通れないものになっています。

D2Cの特徴

農家の軒先販売や、飲食店のテイクアウトなども立派なD2Cですが、ここではネットを通じた直接販売に限定して解説します。

D2Cは、卸や販売店、代理店などを通さず、自社ECサイトで直接に消費者に販売するビジネスモデルです。このため以下のような特徴があります。

事業者側の観点
・ブランドやマーケティングを、自社で直接管理できる
・卸や販売店を通さないため、中間マージンが不要。これを消費者に還元できる
・消費者との直接コンタクトにより、生の市場の声が聞ける
・自社でSNSやウェブマーケティング通じた情報発信力が必要
・ECサイト運営の費用・負担が発生する

消費者側の観点
・生産者、メーカーから、直接商品情報を得られる
・中間マージン分の価格還元が得られる
・SNSやネット情報の収集・判断能力が必要

この特徴をよく理解していただければ、D2Cの成功の秘訣は以下のように導かれます。

消費者の生の声を聞いて、それを反映した良い商品を生産して、適切な価格で提供する。

そして、その魅力を余すところなく消費者に直接アピールすることで、商品の販売に繋げる。

D2Cの成功事例「Glossier」

スタートアップ企業がD2Cで大成功した事例として、ニューヨーク発のコスメブランドの「Glossier」が有名です。

ファッション誌のVOGUE社に勤務した経験がある、創業者兼CEOのエミリーワイズ氏は、その経験をもとに2010年からファッションブログを運営し、月間140万人が訪れる大人気ブログになりました。

このブログのフォロアーと交わした意見をピントに、消費者の望むコスメブランドGlossierを2014年に立ち上げ、以降急成長を遂げて、現在ではアメリカのコスメ市場に影響をあたえるほどになっています。

成長ができた最大の理由は、ファッションブログのフォロアーの関心がコスメに対する関心と重なった事です。フォロアーの意見を取り入れたコスメが販売されると、フォロアーの多くがネットショップを訪れ、そこで商品を購入したフォロアーたちから商品の評判が拡散しました。

消費者の意見を取り入れた良い商品と、その魅力を発信するブログという手段を持っていれば、スタートアップでも大成功できることを示す事例です。

D2Cの進め方

D2Cにおいては、店舗や小売りには頼れないので、自らブランドを確立していく必要があります。そのためには、良い商品を作ることはもちろんですが、その商品の魅力を自分達が主体となって発信することに力を注ぐ必要があります。

D2Cをスタートしようとして、いきなりネットショップを開設する方がいますが、ブランドが浸透していない限り、客の訪問は見込めません。一方、ある程度ブランドが消費者に浸透しているのであれば、お金はかかりますが、SEOやウェブ広告等を併用して情報発信すればある程度の集客は見込めます。しかし、商品にたどり着いて購入してもらうまでには、なかなか至りません。

まずは商品情報の発信

先の成功事例のように、商品情報やそれに関連する情報等を発信して、ある程度のコミュニティを作ることが、まずやるべきことです。

商品の魅力や、開発の背景、使い方などは、商品の作り手が最もよく理解しているはずなので、SNSやブログを通じて関連情報も含めて発信する必要があります。親しい人や仲間を通じてその情報を拡散してもらい、フォロアーを増やしてコニュニティーを作っていきます。

外観やイメージはインスタグラム、スペックや商品詳細はブログで、使用方法などは動画で発信するなど、発信の仕方も情報の種類によって使い分けます。

これらの一連の作業をウェブマーケティングと呼びますが、この作業は広告代理店などの業者に任せてはならず、自身でやるべき作業です。最も大切なこの作業を業者任せにする方がいますが、他人は商品に対してご自身の思い以上のものは持てませんので、ご自身でやるのが最も効率的です。

また、広告代理店などに任せることで、費用は加算され、「必要最低限の費用」ではなくなります。

ブログやインスタグラムからショッピング

ネットショップのスタートアップ段階では、まずは商品の情報発信に重点を置いた販売方法で、取扱商品を絞って始めます。売り上げが上がれば、次の商品を同様に販売して、その積み重ねからブランドとして確立するという手法がお勧めです。

いきなり商品をたくさん並べて開業しても、ブランドが確立していない以上、埋もれてしまって訪れる人がいないということになります。スタートアップでは、商品が多すぎると管理にも手が回らなくなります。

そこでお勧めなのは、ブログやインスタグラムから直接商品を購入できるようにして、開業当初はここだけで販売することです。この方法なら販売商品が1点でも開業でき、情報発信が営業活動に直結します。

ブログには商品画像と購入ボタンを組み合わせた「Buy Button(購入ボタン)」というものが設定でき、ブログの情報を読んだ人がネットショップへ移動することなく、購入ボタンを押せるので自然な形で購入に導入できます。

インスタグラムの画像にも購入ボタンの設定が可能で、これをインスタグラムショッピングと呼びます。画像でアピールする商品はこちらも購入へと誘導できます。

これらの機能はShopify(ショッピファイ)などのネットショップサービスで備わっています。

ネットショップの本格開業

少数の商品販売の積み重ねでブランドが浸透してきたら、ネットショップをオープンする時期です。

ネットショップは、現在ではクラウドプラットフォームを提供する業者が多くいて、ITの知識なしにショップを運営できるようになっていて、手軽さと安全性の観点からこれを使うのが一般的です。

これらのプラットフォームは、それぞれのサービスに特徴があるので、ニーズに合わせて選ぶことができます。「Buy Button(購入ボタン)」や「インスタグラムショッピング」ができるものを契約してスタートすれば、アップグレードしてネットショップへそのまま移行できるものもあります。

現在、様々な企業がネットショップを開設できるサービスを提供していて、「インスタグラムショッピング」の機能はFuture ShopMake ShopColorME Shop、など多くで備わっていますが、「Buy Button(購入ボタン)」と「インスタグラムショッピング」の両方の機能は、世界最大手とも呼ばれるShopify(ショッピファイ)だけで完備されています。

ブログやSNSでの発信は引き続き重要ですが、多くの人にサイトを訪れてもらうために、サイトを見つけやすくするSEOやウェブ広告なども必要になります。こちらも代理店に丸投げせずに、費用対効果を常に検証しながら運用することが必要です。

グーグルアナリティクスやサーチコンソールなど、無料で使用できるネットショップの検証・分析ツールもありますので、それら各種ツールも簡単かつ完璧に導入できるShopify(ショッピファイ)のようなD2Cに最適なネットショップサービスを利用すれば、この記事で紹介した方法で効果的なD2C販売がスタートできます。

最後まで読んでいただきありがとうございました。

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